
訪問診療について
訪問診療でできること
血液検査・尿検査・心電図検査・超音波検査
血液検査によって、ある程度の全身状態の把握、病状の評価を行うことができます。栄養状態や感染症の重症度評価などにも有用で、夜間や休日でも対応が可能です。
尿検査によって、尿潜血・尿蛋白・尿糖などの有無が判断できます。これらは、膀胱がんなどの悪性腫瘍、慢性腎臓病、糖尿病などの初期症状として見られることがあります。また、尿中の細菌の有無も分かるので、膀胱炎などの尿路感染症の診断にも役立ちます。追加で尿の培養検査を行うことで、原因となっている細菌を同定し、どの抗生物質が効くかを予測することも可能です。
超音波検査(エコー検査)は、超音波を用いて体内の臓器や組織の状態を可視化する画像診断法です。非侵襲的で放射線被曝がなく、リアルタイムで臓器の形状や動きを観察できます。例えば慢性心不全の方には心エコーで心臓の動きなどを評価することができますし、がんの方には肝転移の経過観察や、腹水を安全に抜くための評価にも使用します。訪問診療では携帯可能な超音波検査機器を使用しますが、当院では画質の良い最新の機器を用意しています。
心電図検査は、心臓の動きや心筋の状態を調べるための検査です。不整脈や狭心症、心筋梗塞などの診断に役立ちます。血液検査や超音波検査と併せて行うことで、より精度の高い診断が可能です。
これらの検査は、訪問時いつでも行うことが可能です。随時ご相談をさせていただきながら、適切な検査頻度をご提案致します。
薬の処方
訪問診療では、内服薬、貼布薬、点眼薬、坐薬、注射薬、ご自宅で使用する物品など、様々なものの処方が可能です。診察時に処方箋を作成し、ご希望の薬局へ当院からFAXで処方箋を送ります。ご家族などが薬局へ薬を受け取りに行くこともできますが、薬剤師がご自宅を訪問して、薬歴管理、服薬指導、服薬支援、服薬状況や残薬の確認、処方医への報告などを行ってくれるサービスを利用する方々も多くなっています。
点滴、注射、予防接種
ご自宅でも点滴や注射をすることが可能です。点滴の内容によっては、病院で一般的に行う静脈点滴ではなく、皮下点滴という方法を用いてより安全に行うこともあります。
また、貧血や骨粗鬆症などの特定の疾患に対して行われる注射も、ご自宅で行うことが可能です。
その他、季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、肺炎球菌性肺炎、帯状疱疹などに対する予防接種も随時承っています。
在宅酸素・在宅人工呼吸
在宅酸素療法とは、体の中の酸素濃度がある一定のレベル以下に低下している、慢性呼吸不全や慢性心不全などの患者様に対して酸素を投与する治療法です。英語でHome Oxygen Therapyというので、頭文字をとって「HOT(ホット)」と呼ぶことも多いです。
医師の指示があれば、酸素濃縮器という機器本体や酸素ボンベなどを酸素会社が準備して、自宅に設置し、使い方の指導もしてくれます。
在宅人工呼吸療法は、呼吸機能が著しく低下した患者様に対し人工呼吸を行うことで、呼吸・循環動態を一定に保とうとする治療法です。筋萎縮性側索硬化症や多系統萎縮症などの神経難病をお持ちの患者様や、染色体異常を持った小児の患者様に対して行われています。気管挿管や気管切開をせず、大きなマスクのようなものを用いて行うものが非侵襲的陽圧人工呼吸であり、NPPVと呼称されています。一方で、気管切開を行って人工呼吸器を用いて呼吸補助を行うものはTPPVと呼ばれており、特に重症の呼吸困難状態の患者様で適用されます。これにより、酸素や二酸化炭素の交換効率を高め、患者様の生命維持に役立つことが期待されます。
胃瘻栄養、中心静脈栄養
胃瘻栄養とは、腹部に小さな穴を開け、直接胃に栄養を注入する方法です。
中心静脈栄養では、心臓近くの太い静脈から高カロリー輸液を投与します。
どちらも、口から十分な栄養摂取が困難な患者様に対し、体力低下を防ぎ、必要な栄養を確実に補給する重要な在宅医療の選択肢です。
胃瘻・膀胱留置カテーテル・膀胱瘻カテーテル交換
胃瘻、膀胱留置カテーテル、膀胱瘻カテーテルは、それぞれ栄養摂取や排尿困難に対応する重要な医療材料です。感染予防や機能維持のため定期的な交換が必要です。
交換は患者様の状態に応じてご自宅で実施が可能で、患者様とご家族が交換のために通院しなくて良いというメリットがあります。
フットケア・人工肛門の管理・褥瘡治療
当院には、皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)が在籍しています。フットケアは、足のトラブルを改善・予防する総合的な医療ケアです。爪切りだけでなく、足の洗浄、タコやウオノメの処置、巻き爪や白癬の治療、傷のケアなどを行います。特にご高齢の方や糖尿病の方に重要で、訪問診療では看護師が定期的に実施します。足の健康維持により、歩行機能の保持や転倒予防にも貢献し、生活の質向上につながります。
人工肛門(ストーマ)は、大腸がんなどの手術で腸を切除した際に、腹部に新たに作る排泄口です。自然な排泄経路が使えなくなった患者様の生活を支える重要な医療処置です。
人工肛門の管理には専門的なケアが必要で、適切な管理により、患者様の生活の質を維持し、合併症を予防することができます。
褥瘡(床ずれ)は、持続的な圧迫による軟部組織の血流低下で生じる組織損傷です。治療には薬剤使用に加え、圧迫やずれの除去、全身状態や栄養状態の改善が重要です。深さにより浅い褥瘡と深い褥瘡があり、治癒期間は異なります。
治療法は褥瘡のステージと患者の状態に応じて、圧迫軽減、創傷ケア、栄養療法、疼痛管理などを適切に組み合わせて行います。
ボツリヌス療法
ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンというたんぱく質を有効成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。ボツリヌストキシンは筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があり、筋肉の緊張をやわらげます。
脳卒中の後遺症や頭部外傷、脊髄損傷などが原因で、筋肉が緊張しすぎて手の指が曲がったままになったり、下肢が突っぱって動かしにくくなったりしてしまう状態のことを、痙縮(けいしゅく)と言います。
この痙縮に対してボツリヌス療法を行うことで、筋肉の緊張を和らげ、関節の可動域を広げたり、痛みを緩和したりすることが可能です。ボツリヌス療法による効果は、注射2-3日後から徐々に現れ、3-4か月ほど持続します。効果には個人差があり、計画的なリハビリも必要です。
院長は上下肢痙縮・痙性斜頸に対するボツリヌス療法の講習を修了しており、施注が可能な医師に登録されています。上下肢痙縮・痙性斜頸に対するボツリヌス療法には、医療保険が適応されます。
在宅緩和ケア
在宅緩和ケアとは、がんや心不全、呼吸器疾患、認知症などの病気を抱えながら生活する方が、ご自宅でその人らしく安心して過ごせるよう支える医療とケアです。痛みや息苦しさなどの身体的なつらさだけでなく、不安や悩み、ご家族の負担にも寄り添
います。
抗がん剤などの治療を続けながら利用することもでき、人生の最終段階だけのものではありません。医師、看護師、薬剤師、ケアマネジャーなどが連携し、住み慣れた場所での暮らしを支えます。当院では年間 100 名程度の方々の在宅看取りをサポートさせていただいています。ご不安な点などありましたら、いつでもお気軽にご連絡下さい。